菅政権が気になる韓国
日韓関係改善は望み薄
菅義偉官房長官(当時)が9月12日、日本記者クラブでの自民党総裁選討論会で外交問題を聞かれ、「私なりの外交スタンスがあり、それを貫徹していきたい」と述べて、米国や中国を挙げたが、「韓国」には一言の言及もなかった。
韓国メディアは色めき立って報じた。韓国が「無視された」と感じたからだ。だが、半分は彼らも予想していたことだった。「安倍政治を継承する」という触れ込みだったし、「外交より内政重視」になるだろうと見ていたからだ。
それでも菅新政権が誕生して、前政権で悪化した日韓関係に改善のきっかけがあるのか、菅首相の言動を注視している。
月刊中央(10月号)は「特別寄稿」として、週刊現代の近藤大介特別編集委員の「菅政権のスタートと韓日関係の未来」を載せた。日本の専門家が分析してみて、菅首相にわずかでも韓国への関心があるのか、関係改善のきっかけはあるのかを探ろうとしたのだろう。だが結論は身も蓋(ふた)もなく「韓日関係が改善されることはない」だった。
今、東京の韓国大使館は情報が取れずに難儀している。関係者は「コロナを理由に、面会が難しい」と嘆いた。新型コロナウイルスは表向きの理由にすぎないことは十分に分かっている。官僚も政治家も学者も大使館関係者とは会おうとしないというのだ。お手上げ状態だ。
一部では東京情報をワシントンで取っているといわれている。大使館関係者に聞くと否定はしない。つまり、米外交官が東京で取った情報を国務省に報告し、駐米韓国大使館が国務省から東京情報を得て、それをソウルに伝えているというのだ。それほどまでに日本は韓国無視が徹底している。
菅官房長官時に締結した「日韓慰安婦合意」も反故(ほご)にされた。当時の韓国外相・尹炳世(ユンビョンセ)氏が文在寅政権の「積弊清算」でやり玉に挙がってもいる。菅氏の韓国に対する印象「約束を守らない国」を一層強める事例だ。
「元徴用工問題で進展がなければ、韓国訪問はない」というのが菅首相の方針。明確である。ボールは相変わらず韓国側にある。打ち返してみて、反応を見るべきだろう。
編集委員 岩崎 哲