朝鮮戦争当時と酷似
70周年で教訓確認する保守
今年は1950年に勃発した朝鮮戦争から70周年。現下の安保状況が当時と酷似しているとの憂慮が示されている。保守野党・未来統合党と退役将校団体が共同で開いたセミナーで出てきたものだ。これを伝える月刊朝鮮(7月号)を見てみる。
朝鮮戦争は「1948年建国以来の混乱、49年在韓米軍の撤収」に続き、「50年1月のアチソン・ライン」で、北朝鮮に南侵のゴーサインを出した格好となって始まった。アチソン米国務長官が米国の極東防衛ラインから韓国を外し、対馬海峡に定めた結果、北朝鮮がこれを好機と捉え、南侵に至ったのである。
北朝鮮は南北統一、それも「赤化統一」を国是としているが、障害となっているがの在韓米軍であり、米韓軍事同盟だ。共産党が自らの野望を果たそうとする時、ベトナムの例を見るまでもなく、まず、相手側に工作員を浸透させ、シンパ層を作り、親和的な政権を樹立させる。外国軍が駐留していれば、その排除を行い、相手側の要請に呼応する形で軍を進めて占領。今まで利用してきたシンパ層は真っ先の粛清対象となる。
こうした歴史の教訓があるにもかかわらず、韓国は現在、2018年9月の南北軍事合意で、米韓同盟や韓国軍の弱体化までが懸念される状況になっている。保守野党や退役軍人が黙過できないのも無理はない。
しかも「朝鮮戦争の英雄」白善燁(ペクソニョプ)将軍の「顕忠園(国立墓地)埋葬反対」の声が与党から出たり、教育現場では「韓国軍が先に北へ侵攻して始まった」と全く逆の虚偽が教えられているなど、世論工作が浸透している状況だ。
セミナーを主催した統合党の申源湜(シンウォンシク)議員は、「国家が国民にしてやれる最大の福祉は、堅固な安保であり、それだけに堅固な安保なしでは、いかなる福祉も、いかなる経済発展も意味がない」とし、「われわれが追求しなければならない平和は、敵をなだめて譲歩して得る卑屈な平和でなく、確実な安保態勢を土台に堂々とした持続可能な平和だ」と訴えている。
だが、現在の韓国はまさに「理念闘争」中であり、相手側は信念に基づいて親北政策を進めていて、百万言を費やしたところで、考えを変える気持ちはない。従って保守野党は国民に広く訴え、「自由を選ぶか、独裁を選ぶか」を迫って、自党への支持を集めなければならないのだが、その声が届いているとは言い難いのが現状だ。
編集委員 岩崎 哲