慰安婦支援運動の正体は「反日」

尹美香氏の夫・金三石氏、北朝鮮の指令と資金受け反米活動

 元慰安婦の支援運動をめぐって韓国では支援団体の不透明な会計が問題となり、同団体を母体として出馬し国会議員になった元代表の尹美香(ユンミヒャン)氏(与党・共に民主党)をめぐっても、不正の可能性が指摘され、大きな社会問題となっている。

 元慰安婦の李容洙(イヨンス)さん(91)が内部告発したことが切っ掛けだったが、次第に明らかになってくる点は、これが単なる会計不正疑惑なのではなく、活動を主導する勢力の背後には北朝鮮とのつながりが濃厚な人物が見え隠れし、「反日・親北」理念が運動のベースになっていることだ。

 多くの韓国民は、知ってか知らずか、彼らの隠された目的から目を背けていたが、ここにきて、運動の綻びを突いて、保守メディアや保守野党が“正体暴き”を繰り広げている。

 朝鮮日報社が出す総合月刊誌月刊朝鮮(7月号)に「深層追跡」として、尹美香氏と「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)の周辺を追った特集が掲載された。記事は主に裁判の記録や判決文だが、これは「正義連と6年余りの法廷闘争の末に勝訴した『メディアウォッチ』の黄意元記者と、『慰安婦像』を製作した作家夫婦と訴訟戦を行っている金素延弁護士」から提供されたもので、「正義連とこれを後押しする親与党勢力だけの論理と見解」ばかりが流布する中で、「その反対の立場も存在する」として出したものだ。

 尹美香氏の夫がかつて国家保安法違反で実刑判決を受けたことは知られているが、実際、何が罪に問われたのかは、日本ではあまり伝わっていない。尹氏の夫は金三石(キムサムソク)氏といい、「1993年、反核平和運動連合政策委員として、妹の金ウンジュ氏とともに日本・東京で在日韓国民主統一促進国民会議(韓民統)幹部と会った容疑で拘束された。金三石には国家保安法の反国家団体との会合・通信、機密漏洩(ろうえい)などが適用された」とある。

 韓民統(後に在日韓国民主統一連合=韓統連に改編)を大法院(最高裁に相当)は「北朝鮮の指令でつくられた反国家団体」と判示している。「北朝鮮および在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の指令に基づいて構成され、その資金支援を受けて、目的遂行のために活動する反国家団体」である。

 金兄妹は韓統連の郭東儀(クァクトンイ)議長と会い、彼を通じて「家族僑胞会(在日韓国人政治犯を救援する会)」の李佐永(リチャヨン)会長につながる。ここで金三石氏は自身が書いたパンフレット「青年と軍隊」を李会長に渡す。「韓国の軍事問題に対する指針書になるほどの良い本」(判決文から)だった。

 李会長は金兄妹に「祖国統一の先決事項は政治軍事問題解決に力点を置かなければならない。このために、在韓米軍撤退、軍事作戦統制権の移管、米軍基地駐留分担金圧力撤回、チームスピリット訓練全面中止、米製軍事兵器輸入禁止ができなければならない」と“訓示”。自身は「北朝鮮で金日成に会った」と明かし、金兄妹に「金品を渡した」という。

 まとめれば、金三石氏は日本で北朝鮮の指令と資金を受け、韓国での反米活動を遂行した、と韓国の裁判所は判断したということだ。こうした「理念背景」の下で、慰安婦支援運動は金氏の妻・尹美香氏が主導して、初めから元慰安婦支援を装った日本糾弾キャンペーンとして行われた。だから、解決案が出れば潰し、永続的な反日活動を行って、韓国民に日本憎悪を植え付け、日韓離間を図ったのである。

 今日の日韓間の感情的もつれは解きようもなく、その結果、双方が被る安保的、経済的損失は計り知れない。北朝鮮の指令を受けた親北勢力の工作が成功したということだ。韓国には「結者解之」(自分で犯した過ちは自分で解決する)という言葉がある。

 同記事は「慰安婦像」を製作した金ウンソン・金ソギョン夫婦についても取り上げている。「2011年以来、95体を販売し、最小でも31億ウォンの売り上げだった」(朝鮮ドットコム)という。その売り上げが支援活動に使われたという話は聞かない。100体近くもあるのも驚きだが、実態が人道活動ではなくビジネスというのも呆(あき)れる。

 この夫婦は慰安婦像が売れたのに味を占めて、次に「徴用工像」を作ったのだが、モデルが「強制徴用された朝鮮人工夫」でなく、日本人だったというオチが付いた。これを指摘した弁護士との間で訴訟騒ぎになっている、というお粗末ぶりだ。

 こうした記事が保守メディアを中心に出てきて、韓国民の目にも留まるようになった。冷静な視線で相手を見る雰囲気がつくられていくことを期待したい。

 編集委員 岩崎 哲