今年の東京の桜の開花は、14日に靖国神社の…
今年の東京の桜の開花は、14日に靖国神社の標本木の花が咲いたことで宣言された。平年より12日も早く、1953年の観測開始以来最も早い記録だという。都心では冬の平均気温が高く、3月も暖かい日が多かったことによるものだ。
うれしい知らせのはずだが、今年ばかりは喜んでいられない。花見どころではないからだ。開花を祝うイベントも新型コロナウイルスの感染拡大のために中止になる所が多い。お膝元で開かれ、毎年50万人が訪れる「千代田のさくらまつり」も中止が決まった。
国内だけではなく、世界的にイベントの中止、海外渡航の禁止や自粛要請などが伝えられている。世界的に観光産業が打撃を受け、景気の落ち込みはかなりのものがある。
政府は今年の訪日客数目標を4000万人としていたが、訪日客の大幅減で目標達成はかなり厳しい状況だ。この時期ににぎわう京都やその他の観光地のホテルや旅館、宿泊施設は、予約のキャンセルなどで閑古鳥が鳴いている。
桜が日本を代表する花として意識されるようになったのは、平安時代の古今集あたりからで、それまで歌の対象としてよく詠まれていた花は梅だった。
古今集から「花」というだけで桜を指し示すようになったが、それは日本古来の伝統文化への回帰、「国風文化」が花開くことによってだった。桜で思うことは、開花の期間が短い桜のように、新型ウイルスが一刻も早く終息することである。