東京五輪の聖火が日本にやってきた。宮城県…


 東京五輪の聖火が日本にやってきた。宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地での到着式は、それなりに感動的であったが、テレビで見ていても、やはりいまひとつ盛り上がりを欠いた。

 新型コロナウイルスの影響で地元3市町の子供たちの参加が中止となり、ブルーインパルスの5色の煙による五輪マークも風に流された。見る側の心の中には、聖火は来たが、予定通り東京五輪を開催できるのだろうかという疑問が蟠っている。

 新型コロナウイルスの世界的拡大は収まらず、感染者は20日までに160以上の国・地域の累計24万人以上に達した。欧州は10万人を突破し、国境封鎖、外出禁止などの措置を打ち出す国も少なくない。日本で終息が見えてきたとしても、世界の現状を考えると、東京五輪の7月開催を危ぶむのは当然だろう。

 「完全な形で実施」と安倍晋三首相が語ったことで、延期もあるのかとの憶測が広がった。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長も「もちろん、さまざまなシナリオを検討している」と米紙のインタビューで語っている。

 「延期はあっても中止は論外、そして無観客もありえない」というのが、首相と同じく大方の日本人の気持ちだろう。無観客の寂しさは、いま行われている大相撲の春場所を見れば分かる。

 「オリンピックは参加することに意義がある」とは、近代五輪の父クーベルタン男爵の言葉だが、現代の五輪は観客の参加が不可欠なものになっている。