新型コロナウイルスの感染が広がる中、この…


 新型コロナウイルスの感染が広がる中、この2週間ほどは外出をなるべく控え、家で大相撲のテレビ中継を見ることが多かった。15日間の無観客相撲を、専門家はどう総括するのか知らないが、結構面白かった。

 館内の雰囲気がまるで違ったが、違和感があったのは3日目ぐらいまでで、その後の観戦では、むしろ力士たちの気持ちのこもった取り口がよく分かった。

 優勝争いが弾けたのは、10日目の横綱白鵬関と平幕の阿武咲関戦。それまで全勝街道まっしぐらの白鵬関が、若手の突進にたまらず引きを見せ、完敗。「完璧に封じられたね。何が起こるか分からないね」と解説の北の富士勝昭さん。一瞬の判断の是非、駆け引きで決まるのも相撲の醍醐味(だいごみ)だ。

 各国のサッカー、ラグビー、バスケットボールなどで無観客試合の決定が続く中、「無観客で行う」と日本相撲協会の八角理事長がいち早く決断。その意をくんだスタッフ、力士たちが自分たちの役割を果たした。

 五穀豊穣を願う神事として始まった相撲は、1700年の歴史を持つと言われる。娯楽の延長として近世に始まったスポーツは観客なしには考えられないものが少なくないが、大相撲の今回の対応で国技の奥深さを見たような気がする。

 白鵬関が場所前に「(ウイルスは)目に見えないものだから、調節は難しいが、全力を尽くす」と険しい面持ちで話していた。今場所は力士たちの自己管理の生きた実験場でもあった。