東京の西方、武蔵野の木々から散った黄葉は…
東京の西方、武蔵野の木々から散った黄葉は、時に柔らかな日差しに映えて大地を黄金色のじゅうたんを敷いたように一変させる。落ち葉掃除のボランティアの人たちも、しばらくはその手を控える。近くの保育園児や幼稚園児たちが、扇状葉を手ですくい、駆け回ったり寝転がったりしてはしゃぐ。
今年は師走も下旬の風景だ。赤と緑のクリスマスカラーに染まる街に対し、彩りの乏しくなった雑木林では自然の赤と緑も存在を際立たせている。小さな白い花ととげのある艶やかな深緑の葉の柊(ヒイラギ)や赤い花の山茶花(サザンカ)、縁起がいいと赤い実が喜ばれるセンリョウ、マンリョウ、南天などの濃い常緑の葉とのコントラストが目を楽しませてくれる。
22日は「日南の限りを行て日の短きの至りなれば也」(暦便覧)の冬至だった。1年の中で最も昼が短く、この日を過ぎると日脚は伸びるが、本格的な冬はこれから。
寒さも厳しさを増し、残り少ない師走の日々もクリスマス、仕事納め、大みそかへとまっしぐらに進む。
ゆず湯の薬効をうたわれる冬至だが、ユズのしなやかな香りは冬の鍋にも焼き魚にもいい。ゆず味噌(みそ)やゆず胡椒(こしょう)の味と香りもたまらないし、今の時期、大根や白菜が例年より安いのはうれしい。
本格的な冬を前に、鍋物などでしっかり体を温めたい。木々は深い眠りに入るが、人も快眠を加えて寒さ極まる冬の峠を元気に乗り越えたい。<年は唯、黙々として行くのみぞ>高浜虚子。