韓国の“嫌がらせ”は続くと警告する新潮、櫻井氏は国会に対中警告促す
◆東京五輪参加拒否も
今年は日韓関係が1965年の国交正常化以後最悪となった。軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄が直前になって延期されたばかりだが、これで一息つけるのかといえばそうではなく、韓国の日本“嫌がらせ”は相変わらず続くのだという。
そう指摘するのが週刊新潮(12月5日号)だ。合意内容を「事前に出した」だの、「謝った、謝らない」だの、収まることなく、大して重要でもないことが蒸し返されている。そのため日本に充満している「嫌韓」感情はそろそろ限界点に達しそうで“丁寧な無視”でなく“荒々しい無視”にでも変わってくれば、もはや関係改善は数世代後に託さざるを得なくなるかもしれない。
それで、次に韓国が仕掛けてくる“嫌がらせ”は何か。龍谷大学の李相哲教授は、「福島第一原発の処理水の問題を再びフレームアップし、東京五輪の安全性には問題があると、国際世論に向けてネガティブキャンペーンを展開する可能性は大いにある」と語る。
また「悪韓論」の著書もある評論家の室谷克実氏も、来年4月の総選挙で与党が負ければ、文在寅大統領の支持率アップのために「東京五輪のボイコットすら言い出しかねません」と指摘した。
李教授は、「『馬鹿げている』と高を括(くく)り、放置してはいけません。韓国はこうした情報戦に長けていますから」と警告すらする状況だ。
◆汚染水流す韓国原発
そもそも福島第1は8年前の2011年3月に発生した東日本大震災の大津波によって破壊された天災事故だった。被害に遭った人々は励まし合って黙々と復興に取り組み、その姿は世界から称賛され、支援も受けてきた。政府や東電も営々として処理を続けている。その傷口をえぐって攻撃をするとは到底考えられない非人道的な所業である。
福島第1の処理水に含まれるトリチウムの量は、世界中の原発が海洋に排出しているものと同じレベルで、海洋放出希釈がもっとも合理的な処理方法であることは世界が認め、実行されていることだ。
ところが、韓国は慶尚北道慶州市にある月城原発から福島第1の「6倍もの濃度の汚染水」を“垂れ流して”いる。自らを棚に挙げて日本を批判すこと自体が滑稽だが、実際に福島第1を責めれば、逆に世界は韓国の人間性を疑うだろう。同誌はこの点も改めて指摘しておくべきだ。
だから、その前提に立って「東京五輪ボイコット」をすることなど、韓国は逆に自分の首を絞めることになる。自分の首を絞めることは既にGSOMIAで経験済みのはずなのに、まったく教訓を得ていないとすれば、もはや付ける薬はない。次には、今回のように引き止め説得してくれる国もない、ということも指摘してやるべきだ。
とはいえ、李教授が言うように高を括っていては韓国の情報戦にやられる。正しいことも発しなければ伝わらない。それを伝えるのも週刊誌の役割だろう。
◆問われる日本の姿勢
同誌でコラムを連載している櫻井よしこ氏が香港事態に言及している。情報が統制されている一般の中国民衆はウイグル人や香港の人々が置かれている悲惨な状況を知らない。習近平国家主席の「弾圧政策が支持されている」という。そこで櫻井氏は、「だからこそ、いま、日本政府の姿勢が問われている」とし、「自由と民主主義の国として声を発しなければならない」と主張する。
来年、習主席を国賓として招待している政府としては言いにくいこともあるだろう。なので「国会こそ中国に強い警告を発する責任を果たせ」と櫻井氏は促す。米議会は香港人権法を可決し、大統領も署名した。
わが国では香港やウイグルに対しては国会だけでなく、メディアも反応が鈍い。中国支局の封鎖を恐れて筆が鈍っているとしたら、「自由と民主主義」の国のメディアの看板が泣く。「桜を見る会」追及の熱をわずかでも香港やウイグルに振り向けるべきだ。
(岩崎 哲)