京都・伏見区の「伏見稲荷大社」を初めて…


 京都・伏見区の「伏見稲荷大社」を初めて訪ねた。「千本鳥居」と呼ばれる数え切れないほどの鳥居をくぐり続けて狭い山道を行くのだが、人の流れに切れ目がなかった。

 登坂時は人々が黙々と上っていたが、擦れ違う下山の人たちの英語、中国語、ロシア語、スペイン語などで話す声が盛んに聞こえてきた。海外からの観光客の多さに驚いた。

 山道沿いの蔵の中に、炎が60㌢ほどもある巨大なろうそくが立っていて、その炎に魅入っている外国人の青年がいた。この神社の祭神の鎮座は711年。以来1300年間、人々の共生共栄の願いに応えてきたが、その祭神を象徴する火でもある。

 来日中のフランシスコ・ローマ教皇は昨日の午前中、長崎の爆心地の会場で核廃絶のメッセージを発表。「すべての人々が団結し、核兵器の脅威に立ち向かう必要がある」と呼び掛けた。

 その中で教皇は「主よ、わたしをあなたの平和の道具としてください」など、アッシジの聖フランシスコの平和の祈りを織り交ぜた。全世界に向けた発信の意志が強くうかがえた。

 今日、北朝鮮の核開発など世界の平和への重大な脅威が各所にある。一方、通信の発達や教育の普及で世界の人々に広く平和の価値が理解されるようになった。カントの「永遠平和のために」を引くまでもなく、平和の価値は永遠性にあり、人間の心の底で常に希求している。京都の山で見たくだんの若者の姿も忘れられない。