文政権の「失政112件」

野党が経済・国防など批判

 韓国野党で保守の自由韓国党が文在寅政権の「失政112件」をリストアップした報告書を出し、月刊朝鮮(1月号)が取り上げている。

 代表事例として、①経済惨事(最悪の雇用実情、最低賃金の急激な引き上げ)②採用不正(公共機関職員の“世襲”や親族採用、天下り人事)③安保放棄(過度な北朝鮮支援予算の増額、南北軍事合意、北朝鮮人権問題放置)④脱原発災難(電気料金引き上げ、原子力安全委員会への非専門家起用、太陽光発電の乱立)などを挙げた。以下、主なものを見ていく。

 最大の失政は何と言っても南北軍事合意の扱いだ。文在寅政権は、板門店宣言(2018年4月)の“後続措置”的性格である平壌共同宣言(同9月)に対して、本来は国会の批准を受けなければならないところ、「事業内容が可変的だ」として、国会同意が必要ないとしたが、野党は「憲法違反だ」と反発している。

 人事の不正では、ソウル市教育庁(教育委員会)が行った「6・15共同宣言実践南側委員会ソウル本部」委員の人選で、8人中7人を利敵団体である「祖国統一汎民族連合」出身者から選び、また「理念的偏向が深刻な歴史教材」を全羅北道教育庁が採用したことなどを挙げている。

 野党がいたく“立腹”している事例がある。昨年11月10日付本欄でも取り上げた北朝鮮の「李善権祖国平和統一委員会委員長」の“横柄な態度”についてだ。「無礼と欠礼に対してまともに抗議するどころか、過度な低姿勢で、国民の自尊心を踏みにじった」と政府を批判し、悔しさを隠さない。

 李善権委員長は、文大統領と共に平壌を訪れた韓国財閥の総帥たちに向かって(開城工業団地、金剛山観光の再開もできないのに)「冷麺が喉を通るか」と非難したり、時計の故障で会合に遅れたカウンターパートの趙明均統一部長官に対して、「時計も主人に似ている」と嘲笑したりした。

 「自尊心」をことのほか大切にする韓国民にとって、「無礼・欠礼」は見過ごすことができないのだ。

 野党が挙げたのは経済、国防から自尊心までと幅広い。政府・与党の失政をあげつらうのもいいが、「絶滅した」といわれる韓国保守の再建の方が緊要な課題だと思うが、批判だけは勇ましいのも韓国である。

 編集委員 岩崎 哲