韓国過激労組の正体 究極的な目標は体制転換
北朝鮮の指令を受け工作活動、曺国氏騒動の時も情宣
北朝鮮による韓国工作の“手先”が暴かれている。北朝鮮から指令を受け、世論工作を行ったり、軍事政治情報などを北に送ったりしていたのが韓国の労働団体だったことが明るみに出てきているのだ。
忠清北道清州の労働団体活動家の4人が関わったスパイ事件が韓国で摘発された。「自主統一忠北同志会」は2017年6月から21年5月まで84回にかけて、「北朝鮮の労働党傘下にある統一戦線部225局」から指令を受けて、韓国内での「闘争」を行い、情報を北に送っていたという。
内容は戦闘機F35A導入反対をはじめ、保守政党攻撃、反米感情の拡散、反日感情を焚(た)きつけての日米韓安保協力の破壊など、北朝鮮に都合のいい状況を韓国内につくる工作活動だ。
家族の疑惑で就任直後に辞めた曺国(チョグク)元法相騒動の時も、曺国擁護の運動を行って、中道層の抱き込み情宣活動まで行っていた。
こうした北朝鮮による韓国工作の「拠点」の多くは急進左派の労働組合が担う。月刊朝鮮(8月号)が特ダネとして「民労総内最大派閥が自主統一運動の核心」の記事を載せた。「民労総」とは韓国の労働組合のナショナルセンターで正式名称を「全国民主労働組合総連盟」という。世界でも有数の戦闘的過激労組として知られている。
親会社が倒れるくらいの賃上げ要求を出し、長期間のストを行って、一般国民からは「高給を取りながら働かず、韓国の主産業を潰(つぶ)す」と批判的に見られているが、そんなことはお構いなしに、超過激なストを繰り広げる。
そこまでする彼らの目的は何か。同誌は「国民労働組合事務総長のキム・ジュンヨン氏」に聞いた。キム氏は、「民労総は大韓民国憲法とアイデンティティーを攻撃する典型的な理念闘争を行っている」とし、「彼らの究極的な目標は体制転換」だと指摘した。つまり「革命集団」ということだ。
民労総内の最大派閥「国民会議」は「NL系列が主導している」。「NL」とは何かといえば、「民族解放・汎主体思想」のことで北朝鮮の主体思想に従い、「米帝国主義から韓国を解放して、統一を成し遂げ、北朝鮮の先進化された産業基盤を土台に労働者を解放する」ことを目標にしているという。
一瞬、耳を疑う。北朝鮮に「先進化された産業基盤」などあるのだろうか。「世界10位圏内の経済規模」を誇る韓国が、世界最貧国の北朝鮮の「産業基盤」を当てにして「労働者を解放する」などと本気で考えているのだろうか。同誌も「錯誤的発想」と切り捨てているが、NLの核心部分が何かを知れば、それも頷(うなず)ける。
それが「労働者キョレハナ」だ。「2004年NL運動圏主体思想派の政派の一つ『仁川連合』が主導して設立したキョレハナの分派の一つ」と同誌は説明する。正式名称は「わが民族が一つになる運動本部」で、「キョレ」とは民族、「ハナ」は一つという意味の固有語だ。
「利敵団体に分類された祖国統一汎民族連合(汎民連)南側本部の元幹部」によれば、「キョレハナは大衆組織で、前面に名前が出ている人々は大部分実力者でない“雇われマダム”」だとし、「指導と実務は主体思想派の核心幹部が担当する」という。
「民族を一つに」という誰も反対できない美名の陰で韓国を転覆させ、北朝鮮の指導下に入れる工作をしているわけだ。
現政権は学生時代に「運動圏」(学生運動の核心指導部)に関わった筋金入りの活動家が半数以上占めていると言われる。彼らとこの労組幹部らとがどれほどのつながり、関係を持っているのか、同誌は言及していないが、同じ“匂い”と“波長”を持っているとは容易に想像できる。
「北朝鮮の顔色を窺って、従北勢力の活動を黙認・放置してきた政府の責任が大きい」(日刊紙セゲイルボ)とはいうが、その彼らを支持基盤としてきた文在寅(ムンジェイン)政権に取り締まりができるかどうかは不確か。まさに「泥縄」だからだ。
編集委員 岩崎 哲





