フランス 石油探査めぐりトルコ牽制 東地中海に軍派遣
東地中海でフランスとトルコの間の緊張が高まっている。フランスのマクロン大統領は12日、トルコが同地域で石油探査を開始したことを受けて、ギリシャを支援するため、軍事的プレゼンスを強化する決定を下した。
マクロン大統領は決定した理由について「トルコの一方的な石油探査の決定によって引き起こされた緊張だ」と述べ、「国際法の順守を確実なものにしたい」との考えを示した。フランス軍は地中海東部に2隻の軍艦を派遣し、2機のラファール戦闘機をクレタ島に一時的に配備した。
マクロン氏は、ドイツの調停の下でトルコとギリシャの間の「より本格的な協議」を求めたことを明らかにした。フランスとトルコの間で緊張が高まる中、トルコのエルドアン大統領は、トルコの探査船への攻撃は「高い代償を払うことになる」と警告し、マクロン氏はギリシャとキプロスの主権をトルコが侵害していると非難した。
トルコは今月10日、探査船「オルチ・レイス」と補助艦2隻により、ギリシャとキプロス間にある海域で23日まで試掘を行うと発表し、一挙に緊張が高まった。探査船にはトルコ海軍の軍艦5隻がエスコートしている写真をトルコ国防省が掲載。ギリシャは監視のために軍艦数隻を直ちに派遣した。
マクロン大統領はギリシャのミツォタキス首相と緊急電話会談を行い、欧州連合(EU)として、トルコの主権侵害は見逃せないとの認識を示した。一方、マクロン氏はトルコがギリシャと幅広い分野で開かれた協議を行うべきだとの考えも伝えている。
(パリ 安倍雅信)