滋賀の高校生が学校新聞で「福島をつなぐ」


復興支える人々を取材、被災地訪れ特集号も

滋賀の高校生が学校新聞で「福島をつなぐ」

福島市の親子に普段の生活について取材する彦根東高校の新聞部員=2013年3月9日、福島市(同校提供)

 滋賀県立彦根東高校(彦根市)の学校新聞で、連載「福島をつなぐ」が続いている。東日本大震災後の2011年5月に始まり、東京電力福島第1原発事故後の福島県の現状や、滋賀県内で復興を支える人々の様子を伝える。新聞部長の2年、奥村颯太君(16)は「震災を風化させないためにも、東高生に福島の人々の意見を知ってもらいたい」と話している。

 新聞部は「全国高校新聞年間紙面審査賞」の最優秀賞を7年連続で受賞した「強豪」。年11回の新聞のほか、野球部が甲子園出場を果たした際などは速報「キマグレ」を発行している。

 連載のきっかけは震災直後の11年4月、顧問同士の交流があった福島県立相馬高校(相馬市)から届いた授業再開を知らせる新聞。被災しても活動を続ける姿に心を打たれた当時の部員らが「滋賀と福島をつなぎたい」と始めた。

 同年8月、福島県で開催された全国高校総合文化祭に合わせ、部員約15人が被災地を初めて訪問。文化祭を支える地元の高校生らを取材した。13年2、3月にも、相馬高で新聞を作っている「出版局」の生徒や、地元紙「福島民報」の報道部長、福島市で暮らす親子などに話を聞き、震災復興支援特集号を出した。

 福島県除染対策課に応援で派遣されていた13年当時、取材を受けた滋賀県琵琶湖政策課の広田大輔主任技師(28)は「当時は風評被害が多かったので、福島の現状を正しく理解してもらえてうれしかった」と話す。

 滋賀県内では、物産展などの復興イベントや被災地支援に携わる人々を取り上げたほか、13年10月に彦根市で開かれた「ご当地キャラ博」で募金活動をし、約18万円を寄付した。

 連載取材班のチーフを務める2年の吉田伊織君(17)は、12年夏に滋賀県の団体が福島の子供を招いたキャンプで、友達を亡くした小学生を取材した。「(死を)冷静に受け止め、普通に話していた。話を聞いて初めて分かることがあった」と振り返った。現在の顧問の鈴木真由美教諭は「続けることに意義がある。先輩から後輩へ引き継いでほしい」と話している。