和歌山で「ラーメンタクシー」が奮闘
定着へ「半玉」提供も
全国にファンの多い和歌山ラーメンの店を、知識豊富なドライバーのガイド付きではしごできる「ラーメンタクシー」。昨年秋から和歌山市で運行を開始したが、利用数は伸び悩む。定着へ向け、「半玉」の提供など、さまざまな取り組みが続けられている。
和歌山ラーメンは、しょうゆ豚骨スープと中細ストレート麺が特徴で、地元では「中華そば」と呼ばれる。全国の名店が味を競うテレビ番組で同市の店が優勝したことをきっかけに、1990年代後半から人気が広がった。ただ、店の多くは駅から遠く散在しており、観光客へのアピールはいまひとつだ。
市はタクシー運転手のラーメン研修会を開き、試験合格者93人を「ラータクドライバー」に認定。客の好みを聞いて店を案内するサービスを始めたが、この1年余りの利用数は約230件と1日1件にも満たない。市民の認知度も低く、定着しているとは言い難い。
当初から「1杯で満腹なのに、はしごなんてできるのか」と疑問の声があり、利用客からも同様の感想が寄せられているという。そこで、12月から市内11の協力店で、麺を半量にした「半玉」の提供を開始。ラータク限定で、ドライバーが提示する専用チケットでのみ注文できる。値段も3分の2程度に抑えた。
製麺工程などより深い知識を身に付けた「黒帯ドライバー」9人も新たに登場。金色を際立たせたステッカーをドアに付けてアピールする。
料金システムに課題も残る。利用した兵庫県出身の20代女性会社員は「店の前に止めている間もメーターが回るので、落ち着いて食べられない」と指摘。先行する福岡のラータクは利用時間に応じた定額制で、改善の余地はありそうだ。