南極観測船「しらせ」、3年連続越年航行
南極・昭和基地沖、氷雪に苦戦
国立極地研究所に入った連絡によると、南極観測船(海上自衛隊砕氷艦)「しらせ」(1万2650トン、日高孝次艦長)は27日、昭和基地まであと17キロ程度まで接近した。しかし、海氷とその上に積もった雪を合わせた厚さが7~7・5メートルもあり、20日ごろから苦戦。3年連続で越年して砕氷航行を続けることになった。
第55次観測隊(隊長・宮岡宏極地研准教授)の本隊は14日にヘリコプターで昭和基地に入り、ヘリや雪上車で優先的に運ぶ必要がある燃料油や食料などの輸送が4日間行われた。
近年は南極の夏でも海氷や雪が厚く、53次隊は昨年1月21日に昭和基地沖21キロ、54次隊は今年1月11日に同18キロで接岸を断念した。沖合約2キロまで接近しないと燃料油をパイプラインで輸送することができず、ヘリなどによる輸送作業の負担が重くなる。
55次隊は、気候変動の解明に役立つ南極最大の大気観測レーダー「パンジー」の85%完成を目指すほか、生態系やオーロラなどの観測に取り組んでいる。