葛西紀明がまた最年長で表彰台、通算60度目


3戦連続3位、勢い止まらない43歳、見えたW杯勝利

葛西紀明がまた最年長で表彰台、通算60度目

3位に入った葛西紀明の飛躍=12日、ノルウェー・ビケルスン(EPA=時事)

 1回目5位からの逆転勝利を狙い、粉雪が舞う夜空に葛西が飛び出した。不利な追い風に当たり、浮力が十分に得られない。それでも、スキーと両手を大きく広げた独特のフォームで風をとらえ、低い軌道ながらも225メートルのヒルサイズを越えてみせた。「あの追い風の中、ギューンと伸びた。葛西選手、すごいですよ」と自賛した。

 シーズン中に助走姿勢を改善したのが奏功し、3戦連続の3位。表彰台に乗るたび、43歳は史上最年長記録を更新している。だが、この日は喜びは控えめ。得意のフライングヒルでは常にトップを狙っているためで、「うれしさより、ちょっと悔しい」と物足りなさを口にした。

 時速100キロほどの助走スピードの中で踏み切り、8秒近くも飛び続けるフライングヒルには、怖さを感じる選手も多い。しかし、葛西にとっては逆。「どこまでいけるんだろうという、ワクワク感がたまらない」。思い切りの良さと空中での技術がかみ合い、相性の良さにつなげている。

 3日連続、同じジャンプ台で行われるW杯の初戦で波に乗った。「シビアな戦いになると思うが、この勢いで3、2、1位といきたい」。自身への期待も、ぐっと膨らんだ。(ビケルスン時事)