米大学、舌で車いすやパソコンを操作
磁石とセンサーで
脊髄損傷などで頭部しか動かせなくなった人が電動車いすを舌で操作する方法を開発したと、米ジョージア工科大などの研究チームが27日付の米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンに発表した。パソコン操作もでき、ベンチャー企業で実用化を目指しているという。
舌に小さな磁石をピアスで留め、ヘッドセットで口の左右前方に伸ばした棒状の磁気センサーにより磁石の動きを感知する。データは無線でパソコンやスマートフォン(多機能携帯電話)に送られ、車いすなどを制御する仕組み。
電動車いすの操作は声を出したり、顎を動かしたりする方法や、ストロー状の装置に息を吐いたり吸ったりする呼気吸気スイッチが実用化されている。しかし、舌はより素早く、器用に動かせる長所があり、日本でも圧力センサーが入ったマウスピースを舌で押す装置が開発されたことがある。
研究チームが脊髄損傷の11人に装着してもらい、電動車いすを動かすテストを行ったところ、呼気吸気スイッチを使う場合に比べ、操作が最大で3倍速かった。
磁石は直径4・8ミリ、厚さ1・5ミリの円盤状。開発当初は接着剤で舌の表面に留めていたが、数時間で外れてしまう上、誤って飲み込んで気管に入ってしまうと呼吸困難になり危険なため、ピアスで留めることにした。