剣をめぐる重厚な悲劇物語

剣で戦うユベク（上、イ・ビョンホン）とホンイ（キム・ゴウン）＝©２０１５　LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

　アクション映画で新たな領域を開いてきた韓国のパク・フンシク監督が、高麗時代末期を舞台に、剣をめぐる、これまでにない重厚な悲劇物語を作り上げた。

　三人の剣士ドッキ（イ・ビョンホン）、ソルラン（チョン・ドヨン）、プンチョンは世を変えるべく、反乱を起こそうとしたが、ドッキの裏切りでプンチョンが命を落とし、ソルランはプンチョンの子ホンイを連れて姿を消す。

　その１８年後、ドッキはユベクと名乗り、権力を握る男になっていた。自ら武術大会を催した日、ソルランにそっくりな剣を使う少女が現れたのを見て、追っていく。

　一方、ソルランはウォルソと名乗り、プンチョンの娘ホンイ（キム・ゴウン）の母親となって剣を教えてきたが、目が不自由。

　ウォルソは、ホンイが武術大会に出てユベクと会ったことを知ると、「あなたの両親を殺したのは私とユベク」と秘密を打ち明け、「今度会うときはあなたと私のどちらかが死ぬことになる」と言って、家から追い出してしまう。

　突然の告白にホンイは戸惑い、行く当てもなく、酒に酔っていたが、武術大会で出会ったユル（イ・ジュノ）が見かねて家に連れて帰る。ユルはユベクの部下だったがホンイに恋心を抱き、ユベクを倒すために宮廷に向かおうとするのを知って制止する。が、ホンイは振り切る。

　ユベクは複雑な心を持つ悪役だが、ソルランには母性と女性らしさがあり、少女ホンイには強さがあって、激しいアクションと感情表現の妙が見どころ。全国ロードショー公開中。（岳）