「悲劇」塗り替えた歓喜、23年後ドーハで躍動


6大会連続の五輪出場、30日の決勝は日韓戦

「悲劇」塗り替えた歓喜、23年後ドーハで躍動

五輪出場を決め、笑顔で記念撮影するU-23日本代表=26日、ドーハ(時事)

 日本のサッカーファンにとって悲しいイメージのつきまとう中東の都市が、「歓喜の地」として記憶されることになった。

 U23日本代表が五輪切符を手にしたカタールの首都ドーハは1993年、日本代表がワールドカップ(W杯)出場権を目前で逃した「ドーハの悲劇」の舞台として知られる。くしくも、この日の相手は同じイラク。一進一退の展開で、ロスタイムに決着がついた展開も似ていた。ただ、結末だけが違っていた。

 94年W杯米国大会出場を目指していた日本代表は、前年の10月にアジア最終予選に臨んだ。勝てばW杯初出場が決まる最終戦。試合終了間際に相手CKから失点して同点とされ、悲願を逃した。大会のヒーロー中山雅史がベンチから崩れ落ち、エース三浦知良がピッチに座り込んだ。

 それから23年。「悲劇」の年に生まれた原川が決勝点を挙げた試合で、6大会連続の五輪出場が決まった。手倉森監督は「後半ロスタイムに取ったあたり、歴史を感じる」と感慨を込めた。

 指揮官は「あの時の悲しみと悔しさから、日本はW杯と五輪に連続して出られるようになった」と若い選手に話していた。だからこそ「自分たちは6大会連続を目指さないといけない」とも。因縁ある地で劇的な幕切れ。ジンクスはなかった。(ドーハ時事)