全日本フィギュアで羽生4連覇、「彼も人間だ」
ピーク過ぎ重ねたミス、羽生結弦らしくないフリー
目を疑うほどにミスを重ねた。4連覇を果たしたとはいえ、羽生らしくないフリー。後半に跳んだ三つ目の4回転で転倒すると明らかに動きが落ちた。クライマックスとなる終盤のステップはもう、フラフラだった。
得点の増す演技後半に転倒が2度あり、回転不足も三つ。冒頭でサルコー、トーループの4回転を鮮やかに着氷していただけに急過ぎる反動だった。「へたくそ、と思った。悔しい。煮えたぎっている」と自分を責める言葉を並べた。
11月末のNHK杯、12月のGPファイナルで立て続けに歴代世界最高得点を更新。オーサー・コーチも「あんな完璧な演技はそうそうできやしない。彼も人間だ」と言うように、長いシーズンにおける調子のピークは一度、過ぎていた。
SPでも4回転サルコーで転倒しており、「こんな演技を二度としないように」と言った。合計280点台は羽生にはかなり低い。でも、上限に迫る自己ベストが重荷にもなっており、「一からやり直せるうれしさもある」と本音も出た。
昼の公式練習では村上大と接触し、ひやりとさせた。同じく練習で衝突して大けがをした昨年の中国杯のように大事には至らなかったが、影響はあっただろう。どこか、かみ合わなかった。
浅田真央は悩み深く、復調の糸口がつかめず
締めのポーズで一瞬ゆがめた顔が、浅田の苦悩を思わせる。ジャンプ構成の難度を下げて臨んだSPでも崩れ、心境を口にできない。「うーん、という感じ」と言って懸命に作った笑顔も引きつった。復調への糸口すらつかめなかった。
苦手のルッツを外して組み込んだ3回転ループしか決まらなかった。冒頭のトリプルアクセル(3回転半)は着氷が乱れ、連続3回転を封印して二つ目を2回転にしてもフリップ、ループとも回転が足りなかった。「解決方法を見つけられていないから、こうなる」と言って、うつむいた。
挑んできた自身最高難度のSPをやめ、確実性を求めても駄目だった。最下位の6位に沈んだGPファイナルの後に「空回りしている」と言ったが、考え過ぎて、まだ吹っ切れていない。「気持ちが下降気味になっている」と悩みは深い。
練習では調子の波こそあるが、3回転半を含め一つ一つのジャンプは跳べている。「最後の最後まで追い詰められたときに力を発揮できることが多い」と言うように、もう開き直るしかない。