上限に迫る羽生結弦、完璧まであと9点


GPファイナルで、歴代最高330.43点で史上初V3

上限に迫る羽生結弦、完璧まであと9点

フィギュアスケートGPファイナルの男子フリーで演技する羽生結弦=12日、スペイン・バルセロナ(EPA=時事)

 12日までスペインのバルセロナで行われたフィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルで、ソチ五輪男子金メダリストの羽生結弦(ANA)が歴代世界最高の合計330・43点をマークして史上初の3連覇を遂げた。迫る者は、もはやいない。

 ショートプログラム(SP)とフリーでサルコー、トーループと2種類の4回転を計5度跳ぶプログラムを、さらなる高みへと引き上げた。ジャッジによる出来栄え評価(GOE)で5度のうち4度が満点だった。芸術性などを示す演技構成点も10点満点の各項目で9点台の後半が並んだ。

 基礎点の取りこぼしは、SP、フリーとも最高難度のレベル4を逃したステップシークエンスのみ。今回の構成で基礎点、GOE、演技構成点で満点を取ったとしても、さらに上積みできるのはわずか9・01点。驚異のスコアはもう上限に迫っている。

 エキシビションのフィナーレでは4回転ループを着氷した。3種類目となるこの4回転を加えれば、さらに得点が伸びる可能性は広がるが、「今すべきかどうかは疑問」とまだ慎重だ。難しいジャンプを得点が増す後半にさらに組み込む策もあるが、ジャンプは正確無比でなければならない。「ジャンプが決まるからこその演技」という持論がある。

 それでもまだ、羽生が向上する余地はある。スケーティング技術を指導するトレーシー・ウィルソン氏は「練習で見せる質の高いスケーティングを(本番で)ジャンプを入れてもできれば」と言う。細部を詰めれば、完成の域にまた一歩近づく。(バルセロナ〈スペイン〉時事)