家族・先達への感謝を胸に、栄誉の舞台へ


大村さん・梶田さん、ノーベル賞授賞式と晩さん会へ

家族・先達への感謝を胸に、栄誉の舞台へ

リハーサルのため、授賞式会場に入る東京大宇宙線研究所長の梶田隆章さん(左から2人目)と妻の美智子さん(左端)=10日、ストックホルム(代表撮影・時事)

家族・先達への感謝を胸に、栄誉の舞台へ

リハーサルのため授賞式会場に入る北里大特別栄誉教授の大村智さん=10日、ストックホルム(代表撮影・時事)

 ノーベル賞の授賞式当日を迎えた大村智・北里大特別栄誉教授(80)と梶田隆章・東京大宇宙線研究所長(56)は10日、家族や先達に思いをはせながら、授賞式のリハーサルやえんび服への着替えなどに追われた。

 梶田さんは「いよいよ本番なので頑張ってきます」と落ち着いた様子でリハーサルに向かった。終了後、報道陣に緊張の度合いを問われると「してません」ときっぱり。大村さんは「まあまあです」と笑顔を見せた。

 大村さんは、各地で採取した土壌から微生物を培養。特徴を調べる地道な作業を長年続け、ノーベル賞につながった寄生虫病薬「イベルメクチン」など多くの薬の開発に貢献した。

 稼ぎを研究につぎ込む大村さんとの生活を、妻文子さんはそろばん塾を開くなどして支え、2000年に亡くなった。「何があってもびくともしなかった、天真らんまんな妻」。大村さんは文子さんの写真を常に持ち歩き、ストックホルムにも携えてきた。

 梶田さんは、素粒子ニュートリノの観測施設スーパーカミオカンデ(岐阜県飛騨市)のチーム120人の一員として授賞式に。中でも深い教えを受けた小柴昌俊・東大特別栄誉教授(89)2002年にノーベル物理学賞受賞と故戸塚洋二・東大特別栄誉教授、鈴木厚人・岩手県立大学長(69)の名を挙げ、「3人のおかげでここへ来られた」と感謝の気持ちを胸に臨んだ。

 今回の受賞で初めて夫の研究内容を詳しく知ったという妻美智子さん(57)も、授賞式と晩さん会を楽しみに栄誉の日を迎えた。(ストックホルム時事)