「たま駅長」電車、和歌山県など支援10年延長
設備更新へ十数億円、和歌山電鉄貴志川線を支援
和歌山県と和歌山市、同県紀の川市は、ネコの駅長がいることで知られる和歌山電鉄(和歌山市)貴志川線について、2016年度から10年間、財政支援を継続する方針を固めた。今までの赤字を補う形から、線路や駅舎の更新費に対し助成する方法に改め、設備投資を促す。合計十数億円程度の支援策を盛り込んだ議案をそれぞれの12月議会に提出する予定だ。
貴志川線は南海電鉄(大阪市)が運営していたが、業績不振のため撤退し、和歌山電鉄が06年に引き継いだ。県と2市は鉄道用地を南海から購入して和歌山電鉄に無償貸与したり、運営により生じる赤字を補ったりするなどして、現在まで累計で12億円程度の補助をしてきた。
同線は、07年にネコの「たま」を貴志駅(紀の川市)駅長にしたことをきっかけに観光客が増加。乗客は05年度の約192万人から13年度に230万人近くになり、南海時代に年5億円ほどあった赤字も08年度以降は8000万円程度かそれ以下に減った。だが黒字経営は達成できず、行政の支援が運行継続に不可欠だった。
「たま駅長」は今年6月に死んだ。現在は「たまⅡ世駅長」が後任を務めている。