歌手の北島三郎さん、半世紀の夢が成就


菊花賞で愛馬「キタサンブラック」が快挙、「まつり」を熱唱

歌手の北島三郎さん、半世紀の夢が成就

第76回菊花賞で優勝したキタサンブラック。手前左から2人目は北村宏司騎手、同3人目はオーナーの北島三郎さん=25日、京都競馬場

 馬主になって半世紀、ついに悲願達成の瞬間が訪れた-。25日に京都競馬場で行われた中央競馬3歳クラシックレース最終戦、菊花賞(G1))で、歌手の北島三郎さん(79)が所有するキタサンブラックが優勝。北島さんは待望のGI初勝利に「生まれて初めて、こんなに感動したことはない」と感慨に浸った。

 キタサンブラックは中団の好位置でレースを進め、最後の直線でスパートして混戦を抜け出した。「内から出てきた時は、『行けぇー』と奇声を発していました。周りの迷惑も考えないで」と、興奮していた自身の様子を、苦笑いで振り返った。

 レース後、芝コースに姿を見せた。競馬ファンに手拍子を求め、「失礼かなと思うけど、うれしいから公約した通り歌うよー」。自身の代表曲「まつり」のサビ部分を熱唱。約5万人の観客から大歓声を浴びた。

 北海道生まれの北島さんが、馬主になったのは1963年。「真っすぐ走る姿勢。転んでもゴールに向かう姿勢は、私たちの人生と一緒」と、競馬の魅力に取りつかれた。以来、多くの馬を所有してGIにも11度挑んだが、はね返されてきた。

 牧場で出会ったキタサンブラックに「細めだが、いい目をしている」と一目ぼれした。夢をかなえてくれた愛馬がこの日は「他の馬主さんには悪いけど、一番いい男に見えた」。華々しい活躍をしてきたスターの目にも、史上最重量の530キロで菊花賞を制した馬体がまぶしく映った。