「第1回先住民オリンピック」ブラジルで開幕
世界30カ国から70部族2000人の先住民選手が参加
ブラジル中部トカンティンス州の州都パルマスで23日、「第1回先住民オリンピック」の開会式が催された。ブラジルのルセフ大統領も参列した開会式では、色とりどりの伝統衣装に身を包んだブラジルやフィリピン、ニュージーランドなどの先住民が伝統行事などを披露、特設会場を埋め尽くした観衆を魅了した。
大会には、ブラジルの24部族をはじめとして、世界30カ国(約70部族)から約2000人の先住民選手が参加、23日から11月1日までの10日間、伝統的な弓や投げやり、カヌーやサッカーなどの種目を競い合う。競技の中には、森林の中をいかに早く駆け抜けるかという種目もあり、先住民族の特色を活かした競技も盛り込まれている。
一方、先住民オリンピックは、脱商業主義や低予算、競争性にとらわれないことなどを目標としている。競技の順位にかかわらず、参加選手の全てにメダルが授与されることになっている。
「先住民オリンピック」の共同提唱者の一人で、自らがブラジルの先住民でもあるマルコス・テレナ氏は、「(われわれのオリンピックは)、メダルの色や興行成績にこだわることなく、精神的な祝福を求めることが目的だ」と大会開催の意義を説明している。
大会や大会前後のフェスティバルなどを通じ、各国の先住民族が伝統行事などを披露する機会も用意されており、オリンピックは、世界各国の先住民の交流に加えて伝統や文化を示す機会にもなっているという。
開催式に先立ち、22日夜には伝統的なたき火を囲んだ前夜祭が催され、エチオピアやモンゴル、ブラジル各地から集まった先住民らが踊りなどを披露した。(サンパウロ綾村悟)