国交省、橋やダムの「インフラツーリズム」推進
観光客誘致へノウハウ集を作成する方針
絶景を見渡せる巨大な橋やダムなど、特色あるインフラ施設を見学する「インフラツーリズム」。その推進に、国土交通省が本格的に乗り出す。観光客の誘致に成功している各地の事例を分析し、国や地方自治体といった施設の管理者が、観光協会やNPOなどと連携する際の手法を示すノウハウ集を作成する方針だ。
インフラ施設は普段、関係者以外は立ち入り禁止となっている場合が多いが、観光資源としての価値を見いだし、日時を決めて開放したり、見学会を開いたりするケースが近年、増えている。施設を訪れた人が周辺で買い物や宿泊をすれば、地域活性化にもつながるというわけだ。
例えば、神戸市と兵庫県・淡路島を結ぶ明石海峡大橋では、海面から約300メートルあるつり橋の主塔に昇り、周囲の海や陸地を見渡せる「大パノラマ」の体験ツアーを開催。年間約1万人が参加している。
また、地下約50メートルに建設され、大雨などの際に河川の水を取り込んで排水する首都圏外郭放水路(埼玉県春日部市)は、2003年度のツアー開始以降、延べ約35万人が訪問。施設の巨大さから「地下神殿」と呼ばれ、人気を博している。
ただ、ガイドを使った魅力的なツアーを企画したり、来訪者を地元にある他の観光地に誘導したりするのは、本職でない施設管理者には荷が重く、地元の観光協会などとの連携が不可欠となる。
そこで国交省は16年度、関係者が協議会などを組織している先進事例を集め、有識者を交えて分析。課題やその解決策を提示するノウハウ集を作り、他地域への波及を目指す。
具体的には、①立ち入り禁止の場所をどこまで開放するか②職員のいない休日に観光客をどう受け入れるか③料金を徴収するかどうか-といった点について、基本的な考え方を示したい意向だ。