桐生祥秀が復帰戦で優勝、復活に手応え
日本学生対校陸上で、9秒台挑戦へ再スタート
男子100メートル決勝でゴールした桐生は、右手を軽く突き上げた。「勝って当然というか、ここで負けたら世界で戦えない」。柔和にほほ笑んだ。
大瀬戸(法大)と世界選手権400メートルリレー代表の長田(同)を中盤から突き放し、10秒19をマーク。「タイムは意識していなかったが、(故障で実戦から離れ)ここが初戦だと思ってきた中での10秒1台。まだまだ上げていける自信がある」
予選から決勝までの2日間を通じ、「楽しい」を頻繁に口にした。5月末に右太もも裏を肉離れ。世界選手権の舞台に立てず、もどかしい数カ月を過ごした。元五輪代表の土江寛裕コーチが「(桐生にとって)きつい期間になった。久々のレースで、勝負に向けて気持ちを高めていくプロセスなどが楽しく感じ、走る喜びをかみしめていたのでは」と心境を代弁した。
まだ後半にトップスピードに持っていく練習を積んでいない段階で10秒19。本人はそこに手応えを感じ取り、「復活のきっかけと言えるレースになった」。日本人初の9秒台へ、再挑戦が始まる。