日本政府、インドの新メトロに1130億円借款
6都市目総額1兆円に、日印首脳会談受け関係強化
日本政府がインド西部グジャラート州でのメトロ(鉄道)建設に総額約1130億円の借款を供与する方針を固めたことが11日、分かった。9月中にも第1段階として800億円規模の借款を表明する見通し。日本によるインドでのメトロ建設支援はこれまでの分を合わせ、総額1兆円を超えることになる。
安倍晋三首相は昨年9月のモディ首相との会談で、5年間で総額3兆5000億円規模の官民投融資を実現させると約束。政府は現在、インド西部最大の商業都市ムンバイでのムンバイ湾横断道路建設にも円借款供与を検討しており、政府開発援助(ODA)を通じて両国の経済協力強化を図りたい考えだ。
グジャラート州はモディ首相の地元。州当局などによると、メトロは主要都市アーメダバード市内を東西と南北に走り、総延長は約38キロに及ぶ。総事業費は約2500億円で、2020年の全線開通を目指す。
インドは日本のODA最大の拠出先で、政府はこれまで首都ニューデリーやムンバイなど主要5都市でのメトロ建設に総額約9500億円の借款を供与してきた。
ただ、日系企業が入札で事業を受注するのは難しく、日本政府はアーメダバードのメトロ事業については、受注先を日系企業に絞った「タイド(ひも付き)」と呼ばれる方式での借款を主張。昨年の日印首脳会談での合意を目指したが、インド側がこれに反発した経緯がある。
最終的に対中関係もにらんだ日印関係強化の優先制を重視。今回も受注先を絞らない「アンタイド(ひもなし)」方式の援助となる。(ニューデリー時事)