鈴木大地氏、「五輪後」へ問われる手腕


スポーツ庁初代長官への就任が決まり記者会見

鈴木大地氏、「五輪後」へ問われる手腕

スポーツ庁初代長官への就任が決まり、記者会見する鈴木大地氏=11日、和歌山市

 スポーツ行政のかじ取り役を託された鈴木大地氏は、48歳の若さながら多方面で豊富な経験がある。21歳で出場した1988年ソウル五輪の男子100メートル背泳ぎでは、競泳の日本勢として16年ぶりの金メダルを獲得。スタートから水中を潜って進む「バサロ泳法」が日本中に広く知れ渡り、国民的ヒーローとなった。

 引退後は母校の順大や米ハーバード大などで後進を指導し、日本オリンピック委員会(JOC)理事などを歴任。2013年6月には日本水泳連盟会長に史上最年少の46歳で抜てきされた。

 組織での求心力は強い。水連会長としては自分より年長の幹部の顔を立てつつ、柔軟な発想で周囲を驚かせることもある。水連の泉正文副会長は「水泳界の発展はどうあるべきか、というポリシーをしっかり持った発言が多い」と話す。水泳人口の拡大を目指して普及活動に尽力するなど、競技面だけではない視野の広さを持つ。

 知名度を生かし、水連ではスポンサーの獲得にも貢献。泉副会長は「われわれが何回も足を運ぶより会長が行った方が話が早い。フットワークが軽くて助かっている」と、その献身に感謝する。

 スポーツ庁の創設は20年東京五輪・パラリンピックの招致に成功する以前から、日本スポーツ界の悲願だった。それだけに、鈴木氏に対する期待は大きい。

 縦割り行政の弊害を解消し、スポーツを国民生活に根付かせる本来の目的をスポーツ庁が果たすには課題が山積する。五輪・パラリンピックに特化せず、20年大会後を見据えてリーダーシップを発揮できるか、若き初代長官の手腕が問われる。