原爆犠牲者を追悼、信徒ら300人が静かに祈り


長崎の浦上天主堂で早朝ミサ

原爆犠牲者を追悼、信徒ら300人が静かに祈り

70回目の原爆の日を迎えた朝、浦上天主堂で行われたミサで犠牲者のために祈りをささげる人たち=9日午前、長崎市

 原爆で多くの信徒が犠牲となったカトリック教会浦上天主堂(長崎市本尾町)では9日早朝、犠牲者を追悼するミサが行われた。オルガンの音と賛美歌が響く聖堂で、集まった信徒ら約300人は静かに祈りをささげた。

 久志利津男主任神父は「政治家を含め私たちは、被爆者の声にしっかりと耳を傾けなければならない」と説いた。さらに、「二度とあのような出来事を繰り返してはならないと願い、手を合わせる1日となる」と信徒に語り掛けた。

 ミサに訪れた長崎市の深江孝市さん(81)は11歳のとき、爆心地から1・2キロの自宅で被爆した。1カ月後、8歳の妹が無傷のまま突然亡くなった。深江さんは「同級生も大勢亡くなった。毎年、この日は家族や友人の冥福を祈る」と話した。

 「戦争だけはしないように祈りに来た」と話した同市の松本功さん(76)は、6歳のときに爆心地から約2キロの自宅前で被爆。「地獄だった。何が起こったかわからなかった」と振り返った。