世界最深の微生物群集を青森・八戸市沖で発見


探査船「ちきゅう」で掘削、海底下2・5キロが生息の限界

世界最深の微生物群集を青森・八戸市沖で発見

青森県八戸市沖の海底下約2キロから採取した褐炭層に付着した微生物の電子顕微鏡写真(右下棒線は1000分の1ミリ)。微生物は海底下約2.5キロまで確認された(海洋研究開発機構提供)

 海洋研究開発機構の探査船「ちきゅう」で青森県八戸市沖の海底下を深さ約2500メートルまで掘削したところ、天然ガスのメタンを生み出す細菌などの微生物群集が発見された。数が極めて少なく、海底下では微生物が生息できる限界の深さに世界で初めて到達したとみられるという。

 海洋機構や高知大、ドイツ・ブレーメン大などの国際研究チームが24日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 海底下約1500~2500メートルには、泥炭から炭化が進んだ褐炭の地層が多かった。海洋機構の稲垣史生上席研究員は「2000万年以上前に北海道の釧路湿原に似た環境だったのが、日本列島の形成に伴って地下深くに沈んだのではないか」との見方を示した。

 掘削して採取した細菌のDNA解析で、陸上の湿原や森林に生息する細菌の仲間が多いことが裏付けられた。ユーラシア大陸の縁から日本列島が分離するとともに、太平洋プレートが日本列島の下に沈み込む動きによって、かつての湿原堆積物が地下深くに移動したと考えられる。

 調査は2012年に八戸市沖約80キロ、水深1180メートルの地点で行い、海底下2466メートルまで掘削した。