米大学の研究チームがマンモスの特徴を解明
遺伝子の違いが明らかに、脂肪蓄積・温度センサーなど極寒に適応
ユーラシアや北米の北極圏付近に生息したケナガマンモスの全遺伝情報(ゲノム)を近縁のアジアゾウと比較したところ、脂肪の分厚い蓄積や小さな耳、短い尾など、極寒に適応した変化をもたらす遺伝子の違いが明らかになった。温度センサーを担うたんぱく質の一つが変化したため低温に耐え、体毛が長く伸びた可能性があることも分かった。
米シカゴ大とペンシルベニア州立大の研究チームが4日までに、米科学誌セル・リポーツ電子版に発表した。マンモスの死骸は永久凍土からほぼ完全な状態で発掘され、一般公開もされたが、遺伝子レベルで包括的に特徴が解明されたのは初めてという。
マンモスは500万年前までにアジアゾウとの共通祖先から分かれ、200万~100万年前に寒冷な地域に北上。約1万年前に絶滅したと考えられている。今回の比較解析で、たんぱく質の変化をもたらす違いが1642個の遺伝子で見つかった。
マンモスは首の後ろに脂肪が大量に蓄積され、ラクダのこぶのような役割を果たしたとみられる。インスリンの制御は39個、脂肪の蓄積や代謝は54個の遺伝子にアジアゾウとの違いがあった。
白夜など昼夜の時間の大きな季節変動に対応して体内時計を担う8個の遺伝子にも違いがあったほか、温度センサーのたんぱく質「TRPV3」を作る遺伝子の違いにより、低温を好み毛が長く、脂肪が多くなった可能性があるという。