関脇・照ノ富士が初優勝、大関昇進も確実に
稽古で泣いて力つけ、万感の賜杯「重かった、夢みたい」
初優勝が決まった瞬間、照ノ富士は付け人と抱き合った。大胆不敵な若武者も、この時ばかりは目に涙。「相当重かった。まだ信じられない。夢みたいだ」。初めて抱いた賜杯の感触をしみじみと振り返った。
193キロの碧山を得意の右四つで組み止めると、回り込む相手を逃さず、ぐいと左上手も引いて圧倒。結びで兄弟子の日馬富士が白鵬に勝たなければ決定戦にもつれ込んだが、「もう一番勝つつもりで、やるつもりになっていました」。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は成長ぶりを認め、「腰を割っていたし、膝の使い方も良い。足も前に出して相手の逃げる方向に寄っている」と評価した。2年前、日馬富士や宝富士、安美錦ら実力者がそろう伊勢ケ浜部屋へ移ったことで、恵まれた稽古環境を手に入れた。
名古屋場所を新大関で迎えることは確実。稽古の厳しさに泣いたこともあったが、「今年中に大関になる」という目標をかなえた。看板力士の一人となる23歳は「頑張ります」と宣言。師匠は「立ち合いから自分の形になれば、たいがいいける」と背中を押した。