飛騨市の「レールマウンテンバイク」が人気


廃線レールを自転車で疾走、家族連れや外国客も

飛騨市の「レールマウンテンバイク」が人気

 廃線となった第三セクター鉄道の設備を活用し、特殊な台車の上に乗せた自転車をこいで線路を走る岐阜県飛騨市神岡町の「レールマウンテンバイク」の人気が高まっている。カップルや親子連れのほか、「廃線マニア」にも好評で、香港のテレビ局の取材をきっかけに外国人客も増加しているという。人口減少が進む同県最北端の町を訪れる利用者は昨年、3万3000人を超え、営業開始の2007年から8年間で約25倍となった。

 使用する台車には滑車が付いており、自転車の車輪の回転を滑車が台車の車輪に伝えてレール上を前進する仕組み。電動アシスト自転車も選べる。昨年から自転車の後ろにベンチが付いた車両も導入し、子どもを座らせて自転車をこぐ夫婦の姿も見られる。

 コースは、06年に廃止された神岡鉄道の線路を利用した往復5・8キロ。四方を山に囲まれたすり鉢状の町を見下ろす高架橋や、2本のトンネルがそのまま残る。

 香港からの旅行中に立ち寄ったポーリー・ウォンさん(35)は「線路の上を自分の力で走るなんて初めて」と興奮気味。家族と訪れた愛知県愛西市の小学6年林貫人君(11)は「(乗車中に)カモシカを見つけた。トンネルでは急に温度が下がってびっくりした」と満喫した様子だった。

 主催NPO法人の田口由加子さん(36)は「豪雪の際にも町を支えてくれたシンボルの鉄道を残したいと思いやってきた。線路の継ぎ目を走る時の『ガタンゴトン』という音や、四季折々の自然を体中で感じていただけると思う」と話している。