米探査機メッセンジャーが水星の地表に落下
史上初の周回観測、4年で役割を終える
米航空宇宙局(NASA)の水星探査機メッセンジャーを運用するジョンズホプキンス大学応用物理学研究所は1日、メッセンジャーが10年以上にわたる運用を終え、機体が同日午前4時26分(日本時間)に水星の地表に落下したとみられると発表した。
落下前に最後の地表画像を送信して来ており、地表衝突時は直径が最大15メートル程度のクレーターができたと考えられるという。
メッセンジャーは2004年8月に打ち上げられ、11年3月に史上初めて、水星を周回する軌道に入った。地表をカラー撮影し、地形や地質、磁気圏を観測。観測期間は2回延長されて4年にわたり、エンジン燃料が尽きて落下した。北極付近のクレーター内に氷があるとみられることを明らかにした。
水星は月よりやや大きい岩石質の地球型惑星。太陽に最も近く、熱いほか、太陽の重力も強いため、探査機には高度な技術が必要。
来年の夏以降には日欧合同の「ベピコロンボ計画」の一環として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の磁気圏探査機が欧州宇宙機関(ESA)の表面探査機と組み合わされた形で南米から打ち上げられる。24年に水星の周回軌道に投入される予定で、地球型惑星の形成過程の解明が期待される。