映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」


注ぎ続けた愛が奇跡を生む

映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」

三重苦で生まれたマリー(アリアーナ・リヴォアール)と、愛を注ぎ続ける修道女マルグリット(イザベル・カレ)=©2014-Escazal Films / France 3 Cinema – Rhone-Alpes Cinema

 フランスのポアティエ市にラルネイ聖母学院という、盲ろうの子供たちのための学院がある。ラルネイ英知会という修道院によって1835年に創設。

 95年、ここにマリー・ウルタンという生まれつき盲ろうで、教育を受けたことのない少女が入ってくる。マリーは野生動物そのものだったが、やがてゲームや縫い物や読み書きを学び、後輩の指導をした。

 この実話をもとに、マリーの成長過程と、修道女マルグリットの「戦い」というべき教育ぶりを描いた作品である。

 父親に連れられてやって来たとき、マリーの髪はぼさぼさで、服はボロ、父親が目を離したすきに逃げて、木によじ登ってしまう。学院長は手に負えないと判断して帰すのだが、マルグリットはマリーの魂の輝きに惹(ひ)かれ、学院長に訴えて連れ戻してくる。

 だが、マリーは教育を一切受け付けなかった。テーブルでの食事を嫌い、風呂も嫌がり、制服を着せるにも至難の業。4カ月間何の進歩もないままに過ぎていく。限界を感じていた8カ月目、マリーは手話による言葉を覚えるのだ。

 マルグリットは不治の病を抱え、死が日ごとに近づいてくるが、愛を注ぎ続ける。

 ジャン=ピエール・アメリス監督は、ヘレン・ケラーを描いた『奇跡の人』に感銘を受け、盲ろうの人の研究をするようになって、マリーに出会ったという。修道女のマルグリットにとって、「マリーは自分の本当の子供のような存在になっていった」と語る。(岳)