長谷川等伯円熟期の水墨画2点を発見、重文級
京都造形芸術大「重文級の価値がある」
京都造形芸術大(京都市左京区)は20日、安土桃山から江戸時代初期に活躍した絵師、長谷川等伯(1539~1610年)が描いた水墨画2点を発見したと発表した。「猿猴図」「松竹図」で、ともに2曲のびょうぶ絵。等伯の作品は約9割が国宝・重要文化財などに指定され、同大は「少なくとも重文級の価値がある」としている。
いずれも高さ162・4センチ、全長241・2センチで、16世紀末ごろの制作とみられる。それぞれ別の、より大きなびょうぶの一部で、竹林と、木にぶら下がる2匹の猿を墨の濃淡だけで表現。竹の直線的な表現や猿の毛並みの描き方などから、等伯円熟期の50代~60代初めごろの作という。
鑑定に携わった山下裕二明治学院大教授(日本美術史)は「猿猴図は様式が近い一連の作品中、最も遅い時期の制作と考えられる」と指摘。両作とも「等伯の独自の画風展開を考察する上で極めて重要な発見」と話した。
両作品は、等伯生誕の地、石川県七尾市の石川県七尾美術館に寄託し、今秋開催の展覧会に出品の予定。