プロ棋士の阿久津主税八段、初の勝ち越し


将棋会館で「将棋電王戦FINAL」5番勝負

プロ棋士の阿久津主税八段、初の勝ち越し

将棋電王戦第5局で将棋ソフト「AWAKE」と対局する阿久津主税八段(手前右)=11日午前、東京都渋谷区の東京将棋会館(日本将棋連盟提供)

 将棋のプロ棋士とコンピューターソフトが団体戦で対局する「将棋電王戦FINAL(ファイナル)」5番勝負の第5局が11日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた。

 互いに2勝2敗で臨んだ最終局は、先手の阿久津主税八段(32)が「AWAKE(アウェイク)」の構造的な弱点を突いて悪手を誘う戦法を展開。開始後わずか49分、21手でソフト開発者の巨瀬亮一さん(27)が投了を告げた。電王戦開始以来、苦杯をなめてきたプロ棋士陣営は初の勝ち越しを決めた。

 対局終了後、阿久津八段は「(最終局で)結果を求められ、(弱点を突く)一番勝算の高い形を選んだ」とコメント。巨瀬さんは「こうなったら投了しようと思っていた」との談話を発表した。

 電王戦は2012年に始まり、第1回は故米長邦雄永世棋聖が「ボンクラーズ」に敗北。団体戦による5番勝負となった13年の第2回、14年の第3回も共にソフト側が勝ち越し、プロ棋士側はこの2年間の団体戦(計10局)では計2勝に甘んじていた。