苦難乗り越えヤマハ、物語は初の日本一で完結


ラグビー日本選手権で初優勝、サントリーはノートライ

苦難乗り越えヤマハ、物語は初の日本一で完結

日本一を達成し、胴サントリー戦の前半、先制トライを決めるヤマハ発動機のサウ(中央)=28日、東京・秩父宮ラグビー場

苦難乗り越えヤマハ、物語は初の日本一で完結

日本一を達成し、胴上げされるヤマハ発動機の清宮監督=28日、東京・秩父宮ラグビー場

 ノーサイド直前のスクラムにも組み勝ち、サントリーに最後までゴールラインを割らせなかった。ヤマハ発動機が準決勝に続き、相手をノートライに封じて初の日本一。清宮監督は「誇りに思います」と声を上ずらせた。

 得意のセットプレーで主導権を握った。前半7分、敵陣深くのラインアウトから左右に振って攻めておいてから、CTBマレ・サウが突破して先制トライ。26分にはスクラムからの連続攻撃でWTB中園が12点差に広げるトライを決めた。

 後半もセットプレーとボール争奪戦で圧力をかけ、サントリーの反撃の芽を摘み取った。10分にはFB五郎丸が危険なプレーで10分間退場となった。清宮監督が「あそこがポイントだった」と振り返る厳しい時間帯は、残った14人が体を張ったタックルで失点を防いだ。

 ヤマハは2010年度から日本人選手のプロ契約を廃止するなど活動を縮小した。主力の移籍や下部リーグ降格の危機など多くの苦難があったが、翌シーズンから就任した清宮監督が徹底的に選手の肉体を鍛え上げ、コンタクトプレーで他を圧倒するチームをつくりあげた。SH矢富は「僕らには誰も経験していないようなたくさんの物語がある」。苦しかった日々があるからこそ、初めての栄冠はより輝きを増した。