小型無人ヘリコプターでAEDを搬送
東大が千葉のゴルフ場で実験成功、突然死防止へ普及期待
心臓発作による突然死を防ぐ自動体外式除細動器(AED)を小型無人ヘリコプターで運ぶ公開実験が19日午後、千葉市のゴルフ場「京葉カントリー倶楽部」で行われ、成功した。実験を行った鈴木真二東京大教授は「日本初の実験ではないか。無人航空機を安全に飛ばす実験やルール作りが国内外で始まっており、普及への第一歩になる」と話した。
AEDの一般利用解禁から10年を機会に医師らが設立した「『減らせ突然死』プロジェクト」が実験に協力。実行委員長の三田村秀雄・立川病院長は「不整脈の心室細動が起きると、1分ごとに生存率が1割低下する。心室細動は運動に関連して起きることが多く、ゴルフ場やグラウンド、スキー場、海水浴場などでAEDをすぐ運べれば、助かる可能性が高い」と説明した。
実験にはプロペラが八つあるドイツ製の小型ヘリ(重さ約3キロ、約20万円)を使用。ケースを除いたAED(重さ約2・5キロ)を取り付け、クラブハウス前から約70メートル離れたコースまで秒速3メートル程度で飛んで着陸することを繰り返した。飛行は全地球測位システム(GPS)を利用した自動操縦ができる。
鈴木教授は昨年7月発足した「日本UAS(無人航空機システム)産業振興協議会」(東京都千代田区)の理事長を務めており、国土交通省とともに無人航空機の飛行ルール作りに取り組んでいる。鈴木教授は「機体整備や操縦者の資格の認証制度を作り、落下事故に備えて対人・対物保険に入れるようにする必要がある」と話した。