名古屋の「羊神社」、参拝は例年の10倍に
境内に「こま羊」が鎮座、絵馬や破魔矢を例年の7倍以上用意
来年のえと、未(ひつじ)の名が付く「羊神社」が名古屋市北区にある。境内にはこま犬ならぬ「こま羊」が鎮座。未年の正月の参拝者は例年の約10倍、数万人に上るといい、絵馬を多く用意するなど、いつもと違う新年の準備を進めている。
JR名古屋駅の北東約6キロ、戸建てやアパートが多い住宅街の一角。木々に囲まれ創建1000年を超えるが、境内は約600坪とこぢんまりした印象だ。
本殿に上る階段手前右側にある「こま羊」は、こま犬と違って穏やかな表情。温かそうな毛を蓄え、脇に子羊が寄り添う。鳥居をくぐって左側の手水舎(ちょうずや)でも、竜ではなく羊の口から水が流れている。
神社がある北区辻町に奈良時代、現在の群馬県の一地方を治めていた「羊太夫(ひつじだゆう)」ゆかりの屋敷があったとされ、土地の人の平和な暮らしを願った羊太夫が火の神を祭ったのが由来。正確な創建時期は不明だが、10世紀の書物に既に名前があるという。町名も元は「火辻(ひつじ)」だったが、不吉な火の字が後に省かれ、辻町になったとされる。
宮司の半田収さん(84)によると、未年に向け絵馬や破魔矢を例年の7倍以上用意した。100台以上の観光バスが訪れるため、警察による交通整理も実施される予定という。
半田さんは「羊太夫は人々が安心できるよう火の神を祭った。家庭円満で安心して暮らせるように、という気持ちでお参りしてほしい」と話している。