松坂大輔投手、先発にこだわり日本復帰
活路を求めソフトバンクに入団
西武からレッドソックスに移籍し、華々しく大リーグにデビューしたのは2007年だった。松坂大輔投手(34)は、8年間投げた米国のマウンドを去る決断をした。ソフトバンクと契約し、来季は9年ぶりに日本球界へ復帰する。
メッツに所属した今季は、チーム事情から主に中継ぎで起用された。先発9試合を含む34試合に登板して3勝3敗1セーブ、防御率3・89と悪くない成績。新たな役割を見いだし、復活への階段を上り始めたようにも見えたが、本人の胸の内は逆だった。
「いつもと違った景色を見ることが試合中は多かった。自分の居場所はここではない。『自分は先発だ』という気持ちを消すことはできなかった」。中継ぎで評価されるほどに、なおのこと先発への思いは強まった。納得できる球が投げられると実感したからだ。
プレーオフ進出争いからチームが脱落した終盤には登板機会が激減。「来年以降、自分はメッツにとって大事な存在ではない」とふっ切れたような表情を見せるようになっていた。この時、既に日本復帰が現実味を帯びていたのかもしれない。
大リーグ通算56勝43敗、防御率4・45。11年に右肘手術を受けてからはマイナー契約さえも受け入れて大リーグでの再起を目指し、それを果たした。ただ、先発としてのプライドは捨てられない。今季を振り返り、「いろいろな経験をさせてもらった。野球人生にとっていい1年。自分は先発だという気持ちは、これからも変わらないと気づいた」。大切にするべきものは何か。自問自答を重ねた末、日本に活路を求めた。(時事)