ノーベル賞メダルを「お返しします」
落札の露富豪ウスマノフ氏、ワトソン博士の元へ
DNAの二重らせん構造を発見したジェームズ・ワトソン博士(86)が4日にニューヨークのオークションで売却したノーベル賞メダルが、落札者でロシアの大富豪アリシェル・ウスマノフ氏(61)から博士の手元に戻る見通しとなった。米英メディアが報じた。
ウスマノフ氏が「博士は史上最も偉大な生物学者の一人。メダルは自分で持っているべきだ」と返還を提案。博士は「謹んで受け取りたい」としている。
メダルは競売商を通じ475万ドル(約5億7000万円)で売られた。当初、落札者は明かされなかった。博士は大学などへの寄付金をつくるためにやむなくメダルを売りに出したが、それを知ったウスマノフ氏が善意で申し出た格好。
ワトソン博士は1962年にノーベル医学生理学賞を受賞。2007年に黒人の知能を疑問視する人種差別発言をし、学界から距離を置かれている。博士は競売前、寄付によって名声を取り戻したいとメディアに語っていた。(ニューヨーク時事)