競馬ジャパンカップ、スミヨン騎手が雪辱


名手の手綱で4番人気のエピファネイアが快勝

競馬ジャパンカップ、スミヨン騎手が雪辱

第34回ジャパンカップを制したエピファネイアとガッツポーズのスミヨン騎手=30日、東京競馬場

 角居調教師は手綱を託したスミヨンに伝えた。「すぐ引っかかるから」。昨年の菊花賞を制したほどの力を持ちながら、荒い気性でペースを守れないエピファネイアの欠点を説明した言葉だった。

 調教でも乗ったことがなく、またがったのはレース前のパドックが初めて。そんな不安を感じさせない騎乗ぶりに、11万人近い大観衆は酔いしれた。3番手で無駄なく走っているように見えて、実のところベルギーの名手は「バックストレートで(前へ)行きたがってハラハラした」と明かす。

 しかし、最後の直線を迎えると内から瞬時に抜け出した。スミヨン自身、「元気な馬が今スタートしたかのようにドンと伸びた。本当に強かった」と驚く。G1)馬12頭が出走した豪華な一戦で2着に4馬身差の圧勝。これはレース史上2番目に大きな着差だった。

 2010年のジャパンカップを、スミヨンは忘れられない。1番人気のブエナビスタに乗って先頭でゴールしたが、他馬の進路を妨害したと裁定され2着に降着。「あの時は申し訳なかった。だからこそ、意義ある勝利」。4年前の忘れ物を手にした瞬間だった。

 エピファネイアが暮れの有馬記念を制すれば、年度代表馬への道も開ける。「パワーがあり過ぎて困っている。油断はできないよ」。そう言って笑う角居調教師には、自信が漂っていた。