ホンダ航空事業が米バーリントン工場で始動


ジェットエンジンの量産をスタート、「第3の柱」へ

ホンダ航空事業が米バーリントン工場で始動

ホンダが量産するジェットエンジンを披露するエンジン生産子会社「ホンダエアロ」の泉征彦社長=12日午前、米ノースカロライナ州バーリントン(時事)

 ホンダの航空事業が本格的に始動した。米南部バーリントンの工場で12日、ジェットエンジンの量産をスタート。来年から小型ビジネスジェット機本体を納入していく。

 ジェット機生産は創業者、故本田宗一郎氏の夢。ホンダは研究着手から30年近くを経て、航空事業を四輪車、二輪車に次ぐ「第3の柱」に育てる道を歩み出した。

 エンジン生産子会社「ホンダエアロ」の泉征彦社長は、バーリントンで同日開かれた記念式典で「航空事業参入の夢が実現した」と語った。

 ホンダのジェット機は最大7人乗りで、1機450万ドル(約5億円)。エンジンを主翼の上に設置する独自の設計で、燃費の良さやキャビンの広さが特長という。

 1970年代、ホンダの小型車「シビック」は世界に先駆けて厳しい排出ガス規制を達成し、米国を席巻。ジェット機でも性能や信頼性の高さを売りに、米セスナ・エアクラフトなど強豪ひしめく市場に切り込んでいく。既に100機以上の注文が寄せられている。

 航空産業ではエンジンと機体の製造はすみ分けされている。しかしホンダは自前主義を貫き、世界で唯一、双方を手掛けるメーカーとなる。将来的には年間約250機分のエンジンを生産。半分はエンジン単体で販売する計画だ。

 2013年のビジネスジェット機の世界出荷数は678機。08年の金融危機前の半分に落ち込んでいるが、今後は徐々に回復するとみられている。(バーリントン〈米ノースカロライナ州〉時事)