小5長山照利さん「優しくて頑張り屋だった」


御嶽山噴火で死亡、祈りは届かず無言の帰宅

小5長山照利さん「優しくて頑張り屋だった」

9月27日の噴火前に御嶽山頂で伊藤琴美さん(左)と写真に納まる長山照利さん(長山さんの遺族提供)

 「優しくて、頑張り屋だった」。御嶽山の噴火で死亡した愛知県豊田市の市立平和小5年、長山照利さん(11)は、学校でバスケットボール部の練習に熱心に取り組み、掃除や遊びの時間は下級生に優しく声を掛けていた。千羽鶴を折って無事を願った同級生らの祈りは届かず、遺体は5日午後、両親に伴われて自宅に戻った。

 長山さんは母親(45)ら計17人で登山。グループの関係者によると、遺体は山頂から北側に下ったところで一部が灰に埋もれており、頭や背中に噴石が当たった跡があった。男物とみられる水色のナイロンジャケットを着ており、逃げるときに誰かが貸してくれた可能性がある。

 仲間の男性が噴火直前に見たときは、先に死亡が確認された同県知立市の高校3年、伊藤琴美さん(18)と仲良くおにぎりを食べていた。伊藤さんはスマートフォンで2人一緒に撮った写真を、長山さんの母親に送っていた。

 遺体を確認した父親(44)は付き添いの知人を通じて、「懸命な救助に心から感謝します」とコメント。疲れ切った様子の母親は「顔がきれいで良かった」と話していたという。

 死亡した同県の会社員高野英人さん(29)のものとみられるフェイスブックによると、高野さんは新潟県加茂市出身で金沢大に進んだ。噴火した9月27日の午前1時前、「今日はマンキツで一泊して、明日は御嶽山を登山!!」などの記載があり、同5日には「思い出を。40歳になっても、50歳になっても、80歳になっても、後悔しない思い出を作りてぇ!」と書き込んでいた。