萩野公介、仁川アジア大会で強敵かわし金
「最後は精いっぱい」、得意の終盤で一気に
最後の50メートル。3番手に付けていた萩野が勢いを増した。「最後は精いっぱい。焦らずかくことを意識した」。ロンドン五輪で同着の銀メダルだった孫楊と朴泰桓をかわし、男子200メートル自由形で鮮やかに金メダルをもぎとった。
前半から飛ばす孫楊と朴泰桓に食らいつきながら、冷静にスパートのタイミングを待った。2人に体半分ほど遅れて150メートルをターン。「もしかしたら」。得意の終盤、スピードが鈍った2人を一気に抜き去った。従来の記録を0秒01塗り替える日本新記録。勝利を知ると珍しく喜びをあらわにして、拳で水面をたたいた。
7月に高地トレーニングで長距離を中心に泳いでスタミナを強化。その後はパンパシフィック選手権、大学選手権と多くのレースをこなしてスピード感覚を磨いた。「2人に勝てたことが本当にうれしい。自分の最高のレースができた」。長い夏の鍛錬が、大舞台で実を結んだ。
表彰式を挟み、慌ただしく臨んだ100メートル背泳ぎでは銅メダル。個人6種目を泳ぐ今大会の好スタートを切った。指導する平井コーチは笑顔いっぱいで、「種目選びがまた難しくなったなあ」。20歳が計り知れない可能性をのぞかせた1日になった。(時事)