映画「イヴ・サンローラン」


天才デザイナーの光と影

映画「イヴ・サンローラン」

天才と称えられながらも、心に苦悩を抱えて活躍するイヴ・サンローラン(ピエール・ニエ、写真=左)

 2008年にこの世を去った、天才的ファッションデザイナー、イヴ・サンローランの半生を描いた作品である。ファッション業界に大きな変革を起こし、成功したが、その一方で、孤独と葛藤(かっとう)の中に生きた。サンローランを演じたピエール・ニネが、サンローラン自身に似ていると言われ、話題をさらった。

 天才には往々にして「常人とは違う」面があるが、彼の場合、それが神経衰弱として表れ、時にはドラッグや酒におぼれ、精神面での弱さになっていた。が、それでも斬新なデザインの衣装を作り続けた。

 描かれる視点は、生涯そばにつき従い、サポートし、ビジネスパートナーとして事業を成功に導いたピエール・ベルジュ氏によるもの。人物の「暗部」をどう描くかは、訴訟問題にも発展しかねない課題だが、ベルジュ氏自身の協力で解決している。

 その結果、イヴ・サンローラン財団の全面的バックアップで制作されることになり、劇中で使用されたショーの衣装は、財団の提供によるもの。すべて本物だ。さらにサンローラン自身が居住した住居、アトリエも提供されたというのだから、同作品は、同財団からの公認の作品といっても過言ではない。

 監督は、ジャリル・レスペール。ピエール・ベルジュにギョーム・ガリエンヌ。その他、モデル役としてシャルロット・ルボン、ローラ・スメット、マリー・ドビルパンらが出演している。(佐野富成)