安全な食材を自らで生産
外食・小売業界、農業への参入が進む
外食や小売業界が食材の安全性を確保するため、自社で農場を抱えたり、契約農家から直接調達したりする取り組みを進めている。中国・上海の食品会社が使用期限切れの肉を使用していたことが発覚。食品の安全性に対する消費者の関心は高く、企業の農業参入の動きが広がりそうだ。
ケンタッキー・フライド・チキンは、中国で問題の会社から鶏肉を仕入れていた。しかし日本では、国内の登録農場で育てた鶏を店舗で調理する方式を貫き、定番商品の鶏肉は100%国産だ。農場には飼育状況の報告を義務付け、契約も毎年更新するなどチェックを欠かさないことにより、品質を担保している。
居酒屋チェーンを運営するワタミは、2020年までに自社農場を1000ヘクタールに拡大し、店舗と介護事業で使用する野菜を全て有機野菜などに切り替える。同社は「安全・安心な食材を安価な形で提供できる」と利点を強調する。
ハンバーガーチェーン「モスバーガー」は大半の生野菜を契約農家から直接調達している。展開するモスフードサービスは、最近では安全な野菜を安定的に確保するため、農業生産法人への出資にも力を入れ始めた。
流通大手のイオンも農業を手掛ける。関東や近畿など大消費地の近郊で野菜を生産し、そのまま売るほか、カット野菜やキムチなどの加工食品に使用。「安全・安心の商品」として売っている。