夏場所11日目、豪栄道が攻めて横綱を連破
2場所続けて全勝の白鵬に土をつけ、思わず笑み
べったりと砂のついた白鵬の背中はめったに見られない。豪栄道は座布団が頭上を舞った光景をまた思い出し、「あれは何度見てもいい」。2場所続けて全勝の白鵬に土をつけ、思わず笑みがこぼれた。
この日の朝、「悔いを残さないよう、中途半端なことはしない」と誓った。左の頬を張られたがひるまず突っ込み、右を差す。「上の人には攻めなきゃ勝てない」という師匠の境川親方(元小結両国)の言葉通り、思い切って前へ出た。
右四つでまともに組み合うと、白鵬が投げを打ってきた。しかし足幅が狭く強引な形。豪栄道はバランスが崩れたところを見逃さず、左手で渡し込んで体を浴びせた。とっさに出た動きに「普段、稽古していることしか出ない」と胸を張った。
この1年で白鵬を倒したのは横綱、大関以外では豪栄道しかいない。しかもこれで3度目だ。12日目に日馬富士に勝ち、3日連続の横綱撃破となれば、優勝制度ができた1909年以降初めてとなる。「結果がついてきたら最高だけど」と豪栄道。「白鵬逃げ切り」の空気を一変させ、さらに快挙に挑むチャンスも生まれた。